遺言

多発する遺産トラブル。備えあれば憂い無し。
遺言はトラブルを防止しあなたの遺志を形にします。

■ このような方には遺言が必要です。

 

遺産争続と化す、無益な争いが心配な方

今の世の中、遺産をめぐる争いは後を絶ちません。相続のために仲が悪くなる親兄弟姉妹関係も珍しくありません。遺言があれば、それを基に相続されることになります(全てが有効でありませんが)。あなたの財産をきっかけに争いが起こらないようにきっちり遺言を残しましょう。

 

自分の財産はできる限り自分の意思により処分したい方

遺言がなければ、相続人全員で処分について話し合うことになります。その際、法定相続が参考にされるかもしれませんが、話し合いがまとまると、話し合いが優先されます。「生前特に世話になった長男に多くの財産を与えたい」と考えても、人の良い長男は次男に多く譲るかもしれません。できる限りあなたの意思をかなえるためには遺言が意味をもちます。

 

法定相続人以外の方に財産を贈りたい方

たとえば、妻に先立たれ子もなく、法定相続人が兄弟姉妹しかいない方で、その兄弟姉妹と仲が悪いが為に、兄弟姉妹に相続させるぐらいなら、寄付したいと思っている方。
配偶者、親、兄弟姉妹がいる場合、兄弟姉妹には、相続権(相続する権利)はありません。子、親がいる場合、親には相続権がありません。このように、法定相続人と呼ばれる配偶者、子、親、兄弟姉妹のうち、配偶者、子には常に相続権がありますが、親、兄弟姉妹には相続権がないケースがあります。その相続権がないケースに親、兄弟姉妹に相続させたい方。
生前非常にお世話になった方や援助してあげたい方に財産を分け与えたい方。
遺言がなければ、法定相続人以外に財産がいくことはまずありません。

 

愛人や内縁の夫や妻などがいる方

愛人や内縁の夫、妻というのは法律上親族ではありませんので、法定相続では相続できません。
法律によらず相続人同士の協議で決めるにしても愛人や内縁の夫や妻に相続させるということにはならないでしょう。愛人をめぐる相続は必ずトラブルになるといっても過言ではありません。
愛人や内縁の配偶者に相続をさせてあげたいと考えられる方は遺言を残しましょう。

 

夫・妻との間以外に子がいる方

結婚していない人との間に生まれた子、いわゆる隠し子には相続権がありません。
しかし、遺言によって、相続権のない人にも財産を残すことができます。
婚姻外の子でも認知すれば相続権が発生します。婚姻外の子は認知されても(非嫡出子)、法定相続分は夫婦の間に生まれた子(嫡出子)の1/2となります。
しかし、 遺言により非嫡出子の相続分を嫡出子と同じようにすることもできますし、遺言で認知することもできます。

 

夫・妻の連れ子がいる方

夫が再婚で前妻との間の子がいる場合、後妻と夫の連れ子の間には、養子縁組をしていない限り、親子関係はありません。そのため、後妻が亡くなった場合、夫の連れ子に相続権はありません。しかし、遺言によって、相続権のない夫の連れ子にも財産を残すことができます。また、夫の連れ子の場合、後妻と夫の連れ子で養子縁組をすることにより、実子と同じように相続できるようになります。

 

多額の借金がある方

ご存知ですか?借金も相続財産として引き継がれなくてはならないことを!
事業をしていて借入れを多くしている方など、様々な理由から借入れをする方は多くいらっしゃいます。ただし、その借入れはあなたが亡くなったからといって消滅するわけではありません。プラスの財産と同じようにマイナスの財産・借金も相続人が、法的に相続放棄、限定承認しないと相続されてしまいます。残された家族は、負債額を知らずに相続してしまうととても借金の返済に苦しむかもしれません。そうならないためにも、遺言で借金を含めた財産状況を書き残せばよいでしょう。そうすると、相続人は負債の額を含めて、全て相続するのか、相続放棄、限定承認をするのか選択することができます。

 

相続人がいない方

法定相続人が居ないという方の財産はどうなるのでしょうか?その場合、最終的には国のものになります。
国のものになるぐらいならば、法定相続人以外の親族に財産をと考えられる方もいらっしゃるでしょう。そんな方は遺言を残しましょう。

■ 遺言には決まりごとがあります。

遺言は、原則として紙に文字を記すことにより残します。
ビデオの映像や録音テープの声で残すことはできません。ただし、より一層本人の意思を伝えるために、文字で記した遺言とともにこれらを残す方法もあります。
遺言は一人一人で作成します。夫婦、兄弟であっても同じ用紙に遺言を書き記すことはできません。

■ 遺言には3つの形式があります。

遺言には通常「自筆証書遺言」、「秘密証書遺言」、「公正証書遺言」の3つの形式があります。

自筆証書遺言

全文を自筆で記します。用紙はどんな材質でも問題ありません。
遺言の内容、日付を書いたものに署名捺印します。日付は必ず特定できるように記載します(平成16年5月吉日などは駄目)。ハンコは実印・認印は問いませんが、シャチハタは不可です。偽造等を防ぐため、封筒に入れ遺言書に使用したのと同じ印で封をしておいた方がいいでしょう。

メリット
内容を秘密にできること、遺言をしたこと自体も秘密にできるということです。また費用もかかりません。

デメリット
法律で定まった書き方をしていないと無効になること、改ざんや破棄のおそれが高いということ、死後、家庭裁判所の検認手続きが必要なことです。この検認の手続を手続きしないで遺言書を開封した場合は、遺言通りに相続を行ったとしても5万円以下の過料 を取られます。

秘密証書遺言

本人作成の遺言書を公証人役場に持っていき、自分が作成し、持ちこんだものであると証明してもらます。遺言書は手書きでも代筆やワープロで書いたものでも問題ありませんが、署名押印は本人がしなければなりません。公証人役場には証人を2人以上連れて行きます。

メリット
内容を他人に知られないことと、改ざん、隠匿恐れがないことです。

デメリット
費用がかかること、保管は自分でしなければならないということ、死後、家庭裁判所で検認の手続きが必要であること、公証人役場に出向かなければならない手間がある割には公証人は内容には関与しないため書き方に不備があれば無効になることがあり、そのことから利用されることはあまりありません。

公正証書遺言

本人が公証役場に出向き、証人2人以上の立会いのもと遺言の内容を話し、それを公証人が記します。公証人は、記した文章を本人、証人に読み聞かせ、閲覧させて確認を促します。本人、証人が確認のうえ署名押印します。そして、公証人が形式にのっとった記載をし署名押印して完成します。

メリット
作成された遺言書の原本は、公証人役場で保管してくれますので改ざん盗難、破棄などのおそれが全くないこと、自筆証書遺言、秘密証書遺言のような家庭裁判所の検認は不要であることです。

デメリット
証人や公証人に対しては内容を秘密にできないこと、相続財産の額によって費用がかかることなどです。

◆ 公正証書遺言は、家庭裁判所での検認手続が不要であったり、安全性に優れておりますので、大変多く利用されています。

*証人になれない人
相続人になれる可能性のある人、直系血族、未成年者、受遺者など
*言葉や耳の不自由な人は、意志を伝える通訳を介して遺言を作成することが可能です。

■ 遺言に記載できること

財産の処分について

土地と家は○○に、株券は○○に、という風に。

相続人以外への遺贈

相続人以外に財産を残すことを遺贈といいます。 生前にとてもお世話になった人、福祉施設などに寄付をしたいときは具体的に記すことにより可能となります。
*遺留分を侵害する部分は法定相続人の請求により実現できない場合があります。

婚姻外の子の認知

愛人との子、隠し子を自分の子として認知すれば相続人とすることができます。

相続人の廃除

自分にひどい仕打ちをしたり、著しい非行や犯罪を犯した子に財産を残したくない場合、家庭裁判所に相続人の廃除を請求することができます。相続人の廃除は、ご自身で生前に家庭裁判所に申し出て、審判や調停を受ける方法と遺言による方法があります。遺言による場合は、遺言で遺言執行者を選任し、相続開始後、遺言執行者が家庭裁判所に申し立てることになります。

遺言執行者の指定

遺言の内容に全ての相続人が納得する場合は問題ありませんが、なかなか上手くいくものではなく、遺産をめぐるトラブルは後を絶ちません。特に「隠し子の認知」、「遺贈」、「寄付」、「相続人の排除」が絡む場合は往々にしてトラブルになってしまいます。
また、相続財産の名義変更などは、大変煩雑で複雑な手続きが必要になってきます。そんなとき、遺言執行者を指定していると、遺言執行者の名前で手続ができますし、必要書類なども簡略されますのでかなり迅速に処理できます。 トラブルを少しでも抑えるため、手続きを迅速に処理するために遺言執行人を指定しましょう。

◆ 遺言執行者 ~相続手続を円満に遂行するために~

遺言執行者とは、遺言内容を法的に実現させる人をいいます。
相続財産の管理やその他の遺言の執行に必要な全ての行為をする権限と義務を持っています。そのため、相続人であっても、遺言執行者の行為を邪魔することはできません。つまり故人の遺志をより実行できるわけです。
遺言で隠し子を認知したり、相続人を廃除する場合には必ず遺言執行者を用意しなければなりません。遺言執行者の選任は、遺言書の中ですることができますし、家庭裁判所に申立ることにより選任してもらうこともできます。。
遺言の執行には法的な判断がを必要なことも多々あります。故人の遺志を尊重し、トラブルを防止・迅速に処理実行するために、行政書士などの専門家をご活用下さい。

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